便利屋・何でも屋の注意点

私は20代の時、ある成形品のメーカーで働いていました。従業員は200名程度、東京に本社があり、私が働いていたのは大阪の支社です。
私は派遣社員で、7歳年上の正社員の女性ととても仲良くしていました。私が入社した時には既に3歳年下の男性と結婚しており、子供が2人いました。ご主人も同じ会社で、見た目はごく普通、特にハンサムというわけではなく、不細工でもなかったです。

その友人夫婦は、25歳と28歳で結婚したと言っていましたので、ご主人の浮気が発覚したのは友人夫婦が結婚して10年くらいの時でした。
同じ会社の同じ部署で働いている夫婦でしたので、仕事中は意識してよそよそしくしている感じがしました。しかし、子供さんの送り迎えなどを交代でしていましたので、夫婦仲は良かったと思います。私にもご主人の話をよくしていましたので、奥さんのほうは少なくとも夫婦仲が良かったと思っていたはずです。

「ご主人が浮気している」という噂は、実は妻である友人よりも先に私の耳に入ってきました。取引先の会社の女性と浮気している、という噂がかなり広まっており、友人だけが知らない、という状態が続いていました。
友人である私は、彼女に言うべきかどうか迷いましたが、真偽が分からなかったため、黙っていました。すると間もなく友人の耳にも入ったようで、私に相談してきました。私のほうが先に噂を耳にしていたことを知ると、少し気を悪くしていましたが、噂レベルだから黙っていたと言うと、分かってくれました。

「とにかく確かめたほうが良い」と私が言うと、彼女はすぐにご主人に問いただしました。すると、あっさりと認めたと言うのですから驚きです。
しかも、開き直って離婚を要求してきたというではありませんか。今なら私も簡単に離婚すべきではない、とアドバイスするのですが、当時は、そんな男とはサッサと別れたほうが良い、と言ってしまいました。経済的にも自立していたこと、まだ若かったこともあり、彼女はあまり迷わずに離婚を選択しました。

2人の親権は争うこともなく彼女になり、慰謝料は200万円で合意したと聞きました。弁護士や調停、裁判とは無縁で、浮気発覚からほんの2週間で離婚は成立しました。
パートナーの浮気が発覚した場合、パートナーを苦しめたいがために離婚に応じなかったり、法外な慰謝料を吹っかけたりする女性も多いと聞きます。しかし、それは自分が惨めになるだけだと私は思います。私は友人の潔さがとにかく格好良いと思いました。実際、すぐに離婚したのは正解で、1年後には元亭主より何倍も格好良い恋人ができていました。